◆ピースあいち特別展『水木しげるの戦争と新聞報道』~もうすぐです~
運営委員(特別展担当) 熊本 亮子            

                                           
 

 開幕まであと3週間を切りました。どんな展示をお見せするか、ちょっとネタバレでお知らせします。
 3階への階段を上がると正面に、大きなイラストのバナーがみなさんをお迎えします。展示室の外からそこはもう水木しげるワールド!色彩豊かで緻密なイラストに描かれているのは?どうぞ会場に足を運んで観て下さい。

絵はがき

 企画展で取り組みたくて、でもなかなか手を付けられなかったアジア・太平洋戦争を今回、水木しげるさんの戦争体験と新聞報道でたどってみることになりました。開戦というと真珠湾攻撃が真先に頭に浮かびますが、直前に日本陸軍はマレー半島に上陸しており、ここからがアジア・太平洋戦争の始まりでした。新聞は奇襲作戦が成功したことを華々しく書き、国民の戦意を高揚させました。地元紙のコーナーも設けました。報道の役割がけっして現在とは同じではなかったのだと知ります。
 そして南方の激戦地に送られた水木しげるさんは、最下級の陸軍二等兵でした。片腕を失いながらも生還して、前線での生活や、実際の戦争の悲惨さ、戦場での無意味な死を作品にしました。
 展示の中ほど、水木さんが、召集令状が来る前につづったとされる『出征前手記』をどうぞご覧ください。男子は20歳になると兵隊になるという時代、死を身近に感じ苦悩したひとりの若者がそこにいます。ひとたび起こってしまえば、一人ひとりは顧みられることのなかったあの戦争でした。

 7月20日(土)13時30分からは水木しげるさんの長女原口尚子さんの講演会「父 水木しげるの戦争を語る」を行います。今回原口さんに直接お会いしてお願いし、引き受けていただけました。『水木しげるの 娘に語るお父さんの戦記』河出文庫 をもとにお話しを聞きます。電話でお申し込みください。(大人1000円 小中高生300円)