企画展「沖縄戦と子どもたち」開催に寄せて 
運営委員  坂井 栄子            

                                           
 
絵はがき
 

 5月21日から企画展「沖縄戦と子どもたち」が始まります。ピースあいちでは毎年、6月23日の「沖縄慰霊の日」をはさんで「沖縄展」を開催しています。今年の沖縄展のタイトルは「沖縄戦と子どもたち」です。
 ひめゆり学徒隊、鉄血勤皇隊や対馬丸事件による子どもの被害はよく知られていますが、今回はこれまで触れられてこなかった沖縄戦前夜の戦争準備に動員される子どもたち、沖縄戦さなかの子どもたち、そして戦後の収容所、戦争孤児、今なお続く米軍基地と隣り合わせの生活の中の子どもたちなども紹介しています。

 なかでも、1944(昭和19)年に、沖縄北部で組織された遊撃隊(ゲリラ部隊)の「護郷隊」のことはじっくり見ていただきたい展示の一つです。近年、NHKの特集番組や映画「スパイ戦史」などによってその存在が明らかになってきました。総勢約1000名。そのほとんどが15~18歳までの少年兵でした。しかしその存在は沖縄の人にすらあまり知られていませんでした。多くの命が犠牲になり、生き残った者たちからは、思い出したくもないほどの過酷な体験をさせられたという証言もあります。 
 また、南部へ避難する途中で父母を亡くした体験者の言葉には心動かされる人もいることでしょう。

 
絵はがき
 

 沖縄の子どもたちがさまざまな形で戦争に巻き込まれていった状況、戦争が終わったあとも、日本復帰前、復帰後を問わず、子どもたちが米軍基地をめぐる事件に巻き込まれている事実を41枚のパネルで伝えたいと思います。
 このパネル作成にあたっては、沖縄県公文書館、那覇歴史博物館、沖縄平和祈念資料館、対馬丸記念館などからも資料をお借りしました。

 なお、今年の直木賞受賞作品の真藤順丈『宝島』は、戦後の沖縄を舞台にコザ暴動に至るまでの若者たちの青春物語です。戦後の米軍基地を含む沖縄のことが書いてあり、お勧めです。