◆企画展「福島を忘れない!被ばくから8年」関連イベントトーク報告
ボランティア 吉田 稔            

                                           
 

 3月9日、ピースあいちの2階プチギャラリーで展示されている「福島を忘れない ! 被ばくから8年-チェルノブイリ原発事故から34年-」の関連イベントが開催されました。
 チェルノブイリ原発事故周辺の現状報告をチェルノブイリ中部・元理事長の戸村京子さんが、そしてチェルノブイリ中部・理事の河田昌東さんが福島原発事故から8年の福島の現状をお話してくださいました。この企画を立ち上げた僕自身の思いも込めて「関連イベントト-ク」の報告とします。

 ピースあいちの「福島を忘れない!」という企画は、福島原発事故があった翌年2012年7月16日東京・代々木公園で開催された「さよなら原発10万人集会」に参加したことがスタートでした。この集会は主催者発表で17万人が集まり、「原発はいらない!」「原発はそのまま廃炉へ!」の声が東京中に響き渡りました。
 ピースあいちからも多くの参加者があり、この思いをピースあいちの企画で忘れないようにと話し合いました。具体的には、翌2013年の「飯館村写真」展・「チェルノブイリ原発事故写真」展から始まりました。チェルノブイリ中部さんにはその時から、様々な形でご協力いただいています。

絵はがき

2階プチギャラリーの展示

 そして、今年で7回目の「福島を忘れない!」展となり、今回はチェルノブイリ原発事故に学ばなければならないと、「チェルノブイリ中部」主催で2階プチギャラリーでの開催となりました。
 福島原発事故から8年、東北各地、福島の復興は大幅に遅れています。放射能廃棄物の処理、廃炉の事業など一歩も進まない状況であり、避難住民への補償、住民帰還宣言による支援金の打ち切りなど、厳しい現実ばかりが付きつけられています。被災住民の視点に立った政策(脱原発、被災者支援、避難者支援、復興事業など)への転換が急がれます。

1.「チェルノブイリ原発事故周辺の現状報告」 講師:戸村京子さん

絵はがき

講演する戸村京子さん

 1986年4月26日の「チェルノブイリ原発事故」が起こって32年になります。戸村さんは28回ウクライナを訪問されて現地調査や視察を重ねて来られました。その経験から、チェルノブイリの現状をお話されました。
 「当時、事故を起こした4号炉は動作実験中に核暴走して爆発し、国際基準で『レベル7』の深刻な事故でした。その後、4号炉を石棺で覆い放射能の拡散を防いできましたが、その石棺も30年を経て劣化が激しく、2017年11月に新たな金属ドームで覆うことになりました。その上で、ようやく石棺の解体と廃炉の作業が始まりました。ウクライナ政府は、「廃炉までに500年かかる」という。皆さんには歴史文化の国『ウクライナ』を訪ねながら、是非、チェルノブイリ原発事故の現状を見てほしい」と。
 それは、同じ国際基準「レベル7」の福島原発事故の未来を知るためにも大切なことだと感じました。

2.「福島原発事故から8年-現状は?」 講師:河田昌東さん

絵はがき

講演する河田昌東さん

 「福島原発事故から8年目を迎えます。事故直後は、原発から脱原発エネルギーへの転換などと考えられた時期もあったが、現政府と財界の再稼働政策が推進されて現在、9基の原発が稼働している。しかし全消費電力に占める割合は1%程度にすぎない。太陽光発電、風力等の自然エネルギーは7%で、原発発電の7倍になっている。九州電力では昨年、太陽光発電が電力需要の80%に達したため、電力過剰のブラックアウトを避けるためという口実で、原発をそのまま稼働させながら太陽光発電の受け入れを停止するという本末転倒な愚策をとった。
 政府・財界は、相変わらず原発を『ベースロード電源』として、全電源の20%を原発で賄うと言っている。来年の東京オリンピック開催も、福島原発事故及び東日本大震災の復興事業の大きな障害となっている。ほんとうに福島の被災者に応えるためにも早急に、原発から自然エネルギーへの全面的な転換が求められる」と、福島原発事故被災者の視点に向き合った被災者救済、廃棄物処理、廃炉等を盛り込んだ復興政策への転換を強調されました。