年頭にあたって◆昭和は遠くなるのか―時代の変化に対応して 
館長 宮原 大輔            

                                           
絵はがき

 

 平成天皇は今年4月30日に退位、5月1日に新天皇が即位し、改元となります。明治、大正、昭和と戦争が続いたことを考えれば、平成天皇が即位して30年間、戦争がなかったことは良いことには違いないでしょう。
 30年前に昭和天皇が亡くなったとき、テレビは葬儀の様子を細かく伝え、ラジオからは重々しい音楽が流れていました。昭和の時代が終わり、国全体が喪に包まれていました。
 このたびの代替わりでは、ゴールデンウィークが10連休となることに新年早々から話題が集まっています。天皇の退位、即位を国民こぞって祝うためらしいです。
 そして7月には参院選があります。安倍自民党に引き続き政権を託すのか、野党が協力してこれを阻止するのかという大きな節目になりそうですが、「奉祝」「万歳」ムードの中で参院選に向かうのでしょうか。

 30年前に私が感じたことは、昭和の戦争の時代も過ぎ去って、過去のものになるのではないかというかすかな不安でした。現在では、すでに昭和が昔の意味で使われていることすらあります。戦争の時代が1日1日と遠ざかっていくなかで、ピースあいちの価値がより一層問われます。しかし戦争の時代を見つめ続け、平和を希求していくこと、その大切さが失われることはありません。
 ピースあいちの生い立ちを振り返ると、最初に建設が呼びかけられたのは1993(平成5)年8月でした。戦後50年を迎えようとするころです。それから戦後60年(2005年)を経て、開館したのは2007(平成19)年5月でした。
 それからさらに戦後70年(2015年)を経て、戦後74年目となる今年の5月に開館12年目を迎えます。ピースあいちは平成の時代に生まれ育ったともいえそうです。
 ピースあいちは戦時下の古い資料を展示するだけではなく、常に今日的な課題として戦争のことを伝えています。過去を知ることは、新しい時代の中で形を変えながら新しい視点、新しい取組みとして発信されていきます。
 おかげさまで、ピースあいちには多くの来館者があり、支援していただいている多くの方々がいて、日々の開館を多くのボランティアさんが担っています。その中で新しい機軸の展示会やイベントが展開されていきます。
 ピースあいちが開館12年を迎えるときには新しい元号になっていますが、昭和から平成へ、更に次の時代へと、ピースあいちの存在価値は衰えることなく輝いているに違いありません。