出会わせてあげたい人が そこにいるから  
三重県いなべ市立治田小学校  杉山 禎暢            

                                           
 

 私は、「自分の命を精一杯に輝かせて生きることの大切さ」を伝えたくて教師になった。中学生の時に経験した仲間の死が、この思いの根底になっている。「生と死」その両方の視点から、私は「命」と「生き方」について考えながら生きてきた。教師になって18年。中学生の時に抱いた「自分の命を精一杯に輝かせて生きたい」という思いは、「子どもたちにもそんな生き方を伝えたい」という教師としての信念となり、私はいつも、子どもたちの前に立っている。

絵はがき

 

 戦争と平和の資料館 ピースあいちとの出会いは、5年前だった。私は6年生の担任で、社会科「15年戦争」の学習を深めるための見学施設を探していた。史実を知るだけでなく、命と平和への思いや考えが広がり深まるような学習にしたいと考えていた。その時に、同じ学校の先輩教師から紹介してもらったのが、ピースあいちだった。
 平和を願う人たちの心によって誕生したということ。平和を願う人たちが集い合ってボランティアで運営しているということ。これらを知った時、私は、ピースあいちの創設や運営に携わってきた人たちの「平和への祈りや願い」と「平和な未来を自らの手で創り出していこうとする意志」を強く感じた。そして、そんな人たちと子どもたちを出会わせてあげたい、そして自分自身も出会いたいと強く思った。

絵はがき

 

 
 ピースあいちのスタッフのみなさんは、子どもたちと私を、とても温かく迎えてくださった。展示資料の充実ぶりもさることながら、やはり一番の魅力は「そこにいる人たち」だと改めて思った。子どもたちに語ってくださる言葉のひとつひとつに、確かな「平和への祈りや願い」が宿っている。だからこそ、子どもたちの心に響くのだと思う。
 これからも私は、本校の子どもたちをピースあいちへ連れて行きたいと思う。他校の子どもたちにも、ぜひ行ってほしいと思う。なぜか。これからの未来を担う子どもたちだからこそ出会わせてあげたい人が、そこにいるからだ。

●子どもたちのメッセージ(11月20日)

・今、そこで生きているあなたの命が希望。希望を信じて、戦争のない平和な世界をつくっていくのはわたしたちだと思う。今より、もっと平和にしたい。(11歳女)

・授業でやっていても、今日の資料を見ていても戦争はこわいなと思います。人の命をうばうようなことはいやだからです。そんな戦争に負けない平和をつくるには、1人1人の想い、行動が必要だと思います。ぼくも語りつぐことができると思います。(11歳男)

・平和はわたしたちが一生をかけて守り続けなければならない、1番の宝物だと思います。ピースあいちへこさせていただき、平和の大切さを改めて感じました。戦争によってうばわれていく命。そして戦争による恐怖。そんなことが伝わってきて、戦争はもうなにがあってもおきてはならないと感じました。しかし、今も戦争がおきています。まだまだ平和ではありません。ふつうに生活ができることをどの人間もできる、そんな平和を目指します。(12歳男)

・私はピースあいちで戦争のおそろしさと前を向く人々の想いを学びました。私は戦争を体験した事がないから悲しさもつらさも苦しさも分からないけれど、戦争当時の写真では、血を流した人の遺体が重なってあったり、私より小さい子が大きなコンクリートの円につぶされていたり、とても私では想像できないような写真ばかりです。その中で一つ心に残った写真があります。男の子がけわしい表情でくちびるをかみしめ小さな赤子を背中にしょっていました。かそうをまっているようです。小さな赤子の。これが私が学んだ全てです。(12歳女)

・平和とは何か。もちろん戦争がないという人もいる。でも、今の日本は、本当に平和だろうか。まだいろんな国といがみあって、アメリカ軍の基地もある。命が人によってうばわれるのは、もうくり返してはいけない。だから、核兵器のない世界が、ぼくの理想の世界だ。(12歳男)