ピースあいち語り継ぎ手の会始動!◆大切な想い伝えたい
ボランティア・語り継ぎ手の会会員 石川 薫           

                                           
 

 昨年9月に発足した「ピースあいち語り継ぎ手の会」。これまでに作られていた語り手シナリオや語り手の映像を新たに構成し、7月16日、愛知サマーセミナー2018で中学生・高校生の前で披露しました。参加した高校生からは、「実際に戦争を体験した人からの言葉を、ビデオでしたが聞いたことは初めてでした。とても衝撃を受け、心をうたれました」「私たちのできることは、戦争を二度としないこと、戦争を語り継いでいくこと」「語り継ぎ手の方の“バトンタッチ”という言葉が心に残りました」などの感想が寄せられました。
 「杉山千佐子―名古屋空襲で失ったもの」を語り継いだ石川薫さんは―。

絵はがき

満席のサマーセミナーの講座で朗読する石川さん

 7月16日、サマーセミナーで戦争体験の語り継ぎ手の一員として初めて参加をさせていただきました。40分という長い持ち時間、”うまくやろう”、などという高望みはせず、ただひとつだけ「言葉の数々に込められた大切な想いを伝えたい」そんな気持ちで臨みました。
 シナリオの主人公である杉山千佐子さんは、どんな表情で、どんな口調で、どんな思いで体験を伝え続けてこられたのか…、そんな想像を膨らませながら練習した時間はとても濃く、涙ながらに読んだ日もありました。

 

 さまざまな報道により平和の尊さや大切ないのちの問題が軽んじられている昨今を気がかりに思っていた矢先、ピースあいちの”語り継ぎ手の会発足”の記事が目にとまりました。戦争を体験した語り部さん方の遺志を継いで語り継ぎ手の育成をしてゆく、といった趣旨の記事だったと記憶しています。記事を読み返してさほどの時間もおかず、電話をかけてしまいました。”思い立ったらすぐ身体が動いてしまう”のが私の長所であり短所でもあります。失敗も数しれないのですが、今回は皆様とのご縁に感謝しかありません。 

 さて、高度経済成長期に生まれた私にとって戦争は遠い昔の出来事のようでもあり、子どもの頃引き込まれた戦争体験記や小説の切ない思い出の世界でもあります。『ひめゆりの塔』や、『ビルマの竪琴』、『この子を残して』、『黒い雨』…など。
 今私たちが生きている2018年は戦後73年経っているというのに、皆本当に幸せなのでしょうか? 世界から戦火の消えることはありません。いつの日も子どもや弱者が犠牲になっています。国内では原発や憲法改正、自衛隊問題…なかなか私たちの声は国に届きません。

 「そんなことで?」というようなことで人が傷つけあい、殺しあい、心を病んでいます。生きたくても生きられなかった時代がすぐそこにあります。多くの犠牲の延長線上に私たちの尊いいのちがあり、先人たちによって生かされていることを私なりにみなさんにお伝えしたいと願っています。
 私自身も戦争を知らない世代ですが、戦争を知る方々から直接バトンを受け取れる最後の世代でもあります。拙くても、かけがえのない語りを心を込めてお届けしたいと思っています。

 最後に、大好きな坂村真民先生の詩を1編紹介させてください。



     あとから来る者のために

     あとから来る者のために
     田畑を耕し
     種を用意しておくのだ
     山を
     川を
     海を
     きれいにしておくのだ
     ああ
     あとから来る者のために
     苦労をし
     我慢をし
     みなそれぞれの力を傾けるのだ
     あとからあとから続いてくる
     あの可愛い者たちのために
     みなそれぞれ自分にできる
     なにかをしてゆくのだ

     (私はあとから来る者のために”平和の種”を用意したいです。)