今年も映画はおもしろい  
ボランティア 長谷川 保郎            

                                           
 

 私は生活保護受給者に偏見を持っていないだろうか。映画「わたしはダニエル・ブレイク」は、そんな私の偏見を正す一歩になるような作品。
 40年間まじめに働き納税してきたダニエルが病気で働けなくなる。国の援助を受けようとするが、手当受給のための複雑な制度に翻弄される。社会の貧困・格差への怒りを爆発させ“わたしはダニエル・ブレイクだ”と叫ぶ。彼は受給を当然の権利として、人が尊厳をもって生きることの重要性を訴える。
 そういえばかつて日本は朝鮮半島を植民地とした時、“創氏改名”を強要し、人間の尊厳を踏みにじったことを思い出した。

絵はがき

 もう一作品も人間の尊厳・基本的人権について考えさせられた「スノーデン」。実話の映画化。
 映画そのものも将来を約束された私生活の描写やサスペンスにも富み面白い作品だが、アメリカ政府による国際監視プログラムが存在し膨大な量の情報が収集されていることが浮き彫りにされる。我々の日常もその中に入っていることは、民主主義と個人の自由・尊厳を揺るがす大問題である。にもかかわらず、日本人の反応はいまひとつの気がする(私の思い過ごしならいいのだが…)。私自身も人間の自由・尊厳、基本的人権については言葉ではわかった気でいるものの、その考えが血肉になっていないため反応が悪いとつくづく感じる。街には監視カメラがあふれ(防犯には役立っていない)、共謀罪も成立している。
 日本人には主権者であるという意識が薄いのではないだろうか。尊厳を持ったひとりの人間として生きることを広く強く心掛けたい。

追)2017年ではなかったが「ヤクザと憲法」というドキュメント作品があった。ヤクザの人たちに憲法で保障された基本的人権は保障されてない(例えば銀行口座がつくれない)。問題提起としてほんとうにこれでいいのか考えさせられた。