『ピースあいち研究会誌第二号』へのご案内      
ピースあいち研究会世話人 桐山 五郎 



 萌黄色の表紙、『ピースあいち研究会誌第二号』が今年の1月に発行されました。ピースあいちのボランティアの皆さん15名が執筆されています。研究会はボランティア有志の皆さんが会員となり、ほぼ毎月定例会が開かれています。そこでは会員の報告や外部から講師を招き、学習討論がすすめられています。皆さんの日頃からの問題意識の追究の結果として、この会誌が生まれました。
 創刊号は14年7月に発行されました。東電が原発重大事故を起こし、「原発の安全神話」が崩壊した頃でした。創刊号では「原発問題」を論じる寄稿が目を引きました。第二号では、寄稿された論点を五つに分けて整理しました。

加藤さんと堀田さん

 

 「沖縄を見つめる」では、本土と沖縄の距離感はなぜ生まれたのか、またどう埋めるのかについての諸提案です。琉球王国から始まる歴史や占領した米軍の意図が、事実を示して解き明かされ、そこからその距離を埋めるための具体的な取り組みが紹介されています。

 

 「戦争と人権」では、戦争する国をつくるには、内心を取り締まる法が必要だということ、また「稼ぎ手を殺し勲章でだますなり」と詠んだ作者を獄死させる法と国家があったことを論じ、今の政治の局面を照射しています。このような国家においては、女性の人権も子どもの豊かな成長も奪われる。この事実を問う論陣です。

 

 歴史から何を学び、何を継承するか。「平和の課題と継承」では、これに応える提起があります。共通する論点は、地元に視点をおき、そこから問題の在りかを示し、何を継承するのかの展望を示します。例えば、一枚の地図に、国家はない水田を描き、ない住宅地を描きこみ、国民に示す。このような事実を地元の人々に提示し、どう「平和構築に向けて考える場」をつくるのかを問います。

 

 諸事象が、複雑に絡み合って動く現代に生きる私たちは、何をどう考えればいいのだろう。「現代を見つめる」「思想」の項では、正面からこれら事象に挑む論者の視点があります。あらそいが絶えない「現代」において、「真の権力は経済の中に潜んでいる」という一文は、暗示的です。また、人類と原発は共存できるのか、宗教世界の根源的成り立ちを考えてみよう、などがあります。

 

 会誌第二号は、国民的課題が、どう戦争と平和の課題と結び合うのか、それを解き明かす労作が並びます。会誌には、不十分さもあろうかと思いますが、是非ご一読いただき、忌憚のないご意見を頂きたいと願います。