『にっしん平和のつどい2016』企画展に参加して    
運営委員  吉岡由紀夫


 日進市(人口約9万人、西を名古屋市、東を豊田市に接する)では、毎年、市と市民グループ(にっしん平和を考える会)による『にっしん平和のつどい』が開催されています。「ピースあいち」も実行委員会に参加し、日進市から企画運営の委託を受け、毎年事業に協力しています。今年は7月23日(土)~24日(日)の2日間、日進市立図書館で行われました。

絵はがき

 「ピースあいち」は、おざわゆきさんの『あとかたの街』に再度ご登場を願い、「漫画『あとかたの街』が描いた名古屋大空襲」と題した展示を行いました。子どもから大人まで約200人が見学しました。
 70代の女性は「この漫画に描かれていることと同じ体験をしました。71年前 のことを、当時は小さかったのですが、しっかり覚えています」と話されました。小学4年生の男の子は、「名古屋城が戦争で燃えたことを知ってびっくりした」と感想を言ってくれました。 親子づれで見学に来られた女性は「漫画『あとかたの街』をぜひ図書館に備えていただくようにお願いしたい」と言われました。

絵はがき

 「非核平和都市宣言のまち日進」は、市民から募集した戦争体験の語り部を市内全小中学校に派遣し、子どもたちに戦争体験者から直接話を聞くことのできる「戦争体験を聞く会」を実施しています。

 このような取り組みを行っている日進市に、「ピース」あいちも協力させていただいていることは大変意義のあることだと思っています。


 
(追記)
ビナードさん、大いに語る            

 7月23日(土)には、詩人アーサー・ビナードさんの自作紙芝居と講演があった。
 紙芝居『ちっちゃいこえ』は、4月に「ピースあいち」で実演したものを書き直して持ってきたということだった。確かに「黒猫」を大写しにした一枚は、新しく追加されたものであった。

絵はがき


 講演は隣室の「『一億』の戦時ポスター展」と関連させて「一億」の意味や使われ方から、当時の政府が唱えた「一億玉砕」の「玉」と「玉音放送」の「玉」との違いに及んだ。「玉音」の「玉」は文字通り「玉である天皇」を表すが、「玉砕」の「玉」は「砕けて初めて玉になる兵士」のことで、死を美化するものだという説明には意表を突かれた。

 

 圧巻は、オバマ米大統領の広島訪問と広島演説についてのコメントであった。
 「岩国基地訪問のついでに立ち寄っただけで、何をしに来たのかわからない。謝罪もない。」「(見学)7分で資料館を出て献花しているが、それで何を見たのか」と鋭い突っ込み。また演説については、ビナードさんもあるメディアの同時通訳をしておられたそうであるが、「(演説)17分は長い。最後はイタコ状態だった」とのこと。
 しかし、その内容については「巧妙に作られた原稿によるもの。広島を訪問したことによる話がない。根っこがない。既製品!」と厳しく批判、「あの演説がオバマである必然性はない。アーサーの広島演説にしてもよい」と述べられるに至っては、大笑い、痛快だった。それは「空から死が降ってきて世界が変わった」という表現のおかしさの指摘とともに、説得力があった。    (運営委員 稲田 浩治)