資料ナンバー2368その他 新聞の裏面から の話 資料班


 
新聞記事

中部日本新聞 1945年8月10日号

 今月は、1945年の6月から8月の中部日本新聞の、第2面から、いくつかご紹介します。
 当時の新聞は、縦長の紙が1枚、2面(2ページ)しかありませんでした。1面はメインのニュース、戦争の状況などのかたい記事が多いのですが、裏の2面に行くと、生活に密着した情報や、気楽に読める地域の話題などが載っています。

 まずはこちら。1945年8月10日号。焼夷弾の筒を椅子の足にした床屋さんの話。写真を見ても椅子の様子がよくわからないのがちょっと残念ですが、「理髪営業」と毛筆で書かれたのれんだか看板だかが掲げられています。

 「防空壕のうえに建てた敗れ戸障子の掘立(ほったて)小屋、鏡もなければ洗面台もないが、やっと持ち出したバリカンと剃刀(かみそり)、それに貯水槽に放り込んでおいた椅子が一本脚を失っただけで助かった さっそく焼跡(やけあと)の人々のために開いたそれこそ文字通りの決戦床」

 書き写していて気付いたのですが、当時の新聞の文章って、マル(句点)を使わないのね。
 「店開き以来、千客万来…」「自らの頭も始末できない忙しさ、…」だそうです。

新聞記事

中部日本新聞 1945年6月20日号


 こちらも焼け跡から。1945年6月20日号。「狭いながらも楽しい我家」「東西焦土の頑張り較べ 4 東京の巻」「焼残った物置小屋で意気軒昂(いきけんこう)のエノケン氏」

 「先月二十四日夜半から廿五(にじゅうご)日未明にかけての空襲に醤油樽の化け者みたいな大型焼夷弾の直撃を受けて家を焼いてしまった榎本健一氏はその翌日から焼跡の大森区某町で元気な焦土生活をはじめた」

 飼い犬は犬小屋を追い出されて、そこに知人一家が転がり込んできた話とか、7羽いた鶏は「丸焼きにもならずに毎日玉子を生んでは決戦下蛋白(たんぱく)提供の重大使命を果たしている」とか、「『快男児』の撮影も十一日で終り『豪傑(ごうけつ)読本』のロケはこの二十日からでないとはじまらないので」もう一つ防空壕を掘ろうと思っている、とか、軽やかな雰囲気で焼け跡での生活が語られています。

 隣に載っている「国民交戦必携②」は、敵が上陸してきたらどう戦うか、というような話みたい。
 「3 肉弾攻撃資材と組の編成」「敵米の物量戦法を撃破するものは一に尽忠護国の信念より発する体当り斬込の特攻戦法である」
 「対戦車肉弾攻撃の資材」は、「1手榴爆雷 2火炎瓶 3刺突爆雷 4フトン爆雷」だそうです。安全装置を抜いて投げつけるのとか、長い棒の先が敵にぶつかると爆発するようになっているのとか。戦車の側面や、空気孔を狙うとよい、とも書かれています。
 アメリカの「物量戦法」に、市民も「特攻」・「肉弾」の精神で立ち向かえ、ということらしい。

新聞記事

中部日本新聞 1945年7月31日号


 もうひとつ、1945年7月31日号から、「夏の野草を食べよう」
 いまひとつ野草食が実行されていないのは、草の判別が困難なためであると。
 対策として、「名古屋市振興課あたりで実物を市民に提示し」「空地や路ばたなどに生えている野草があれば発見次第立札をして」「町内会、隣組単位の試食会などには野草の斡旋(あっせん)もするなどしている」のだそうです。

 この記事によると、野草の採取のポイントは、
・塵埃(じんあい)(ちりほこり)の少ない清潔な場所で、混り物のない群生場所で採取するとよい。←ほかの草が混じらないように、でしょうか。
・刃物を使わず、爪で切るか手でちぎって採取する。←食べられる、柔らかいところだけ採るということのようです。

 調理に関しては、「食べ馴(な)れない人は少し茹(ゆ)ですぎる程度にしたり味噌(みそ)和えなどにした方が食べよいが馴れれば却(かえ)ってサッとゆでた方が風味があってよい」とか。
 2種類以上の野草を混ぜると、火の通り方が違ったりしてむらができるから、1種類ずつ採取・調理するのがおすすめだそうです。

 なぜこの記事に興味を持ったかというと、食べられる野草の中にスベリヒユがあったからです。
 2014年2月にピースあいちで行われた短歌の展示
 「あをあをとスベリヒユ伸ぶ『戦争と平和の資料館』に続く道の辺」
 を思い出したのです。展示のポスター用にスベリヒユの画像を探しました。(冬だから生えてなかったのです。)あのスベリヒユが食べられるのか、ということで、この記事をご紹介しようと思いました。

写真

スベリヒユ

 スベリヒユの調理法は、
「草や葉を茹でて酢味噌にしたり又煮ても食べれる 茹でて乾燥貯蔵も出来る」 とのことです。


詳しい画像はこちらからどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/20140819_shinbun2men.pdf

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http://www.peace-aichi.com/05_objects.html