寄贈品展によせて◆戦争中にあった事実を語るモノたち  
ボランティア 安藤 正幸              

                                           
 

 ピースあいち第6回寄贈品展「時代を越えて語り継ぐモノたち」が12月8日から始まります。この一年ほどのあいだに寄贈された154点が展示されます。来年には新しい元号が始まり昭和は一段と遠く感じるようになってしまいそうですが、展示品は昭和の大戦時の政治、生活や戦況などを伝えてくれる貴重なモノです。ピースあいちには、70年以上たった今でも寄贈される多くのモノがあり、丁寧に登録、整理収納されています。

絵はがき

寄贈品展の準備をするスタッフたち

 今回の展示品の中には満州関係の紙資料が多くあります。開拓に希望を持って渡満したのに兵隊にとられ戦死した記録です。本人の無念さはもちろん、残った開拓団の方のその後の悲痛の声が聞こえてきそうな資料です。一方、瀋陽など都会に住んでおられた方の資料からは日本への引き揚げが組織的で秩序だって行われていたように見えます。しかし、引揚者の名簿には乳飲み子を含む37名が記されており、劣悪な環境のなか、帰路の大変な状況が想像できます。 

 また当時の新聞の中に昭和12年12月22日号外があります。内容は、戦争を批判する学者、文化人等共産主義者でない人たちも大量に検挙された記事(第一次人民戦線事件)です。この年は7月に盧溝橋事件が発生、戦局が急拡大し、12月に南京を占領しています。翌年初めには国家総動員法が制定されます。この新聞が保存されたのはそんな時勢の危機感があったからでしょうか。

 その他に、戦場で使われたモノ、当時の暮らしの中で使われたモノ、国民を戦時一色に総動員した雑誌や新聞等…154点。これらのモノたちが、今この時代に生きる私たちに伝える言葉をしっかりと聞きたいと思います。また若い人たちには戦争中にあった事実を知って、平和の大切さを感じてもらう機会にできたらと願います。