◆所蔵品から◆資料ナンバー8992・8995・8996 ベルリンオリンピックの新聞の話
資料班



東京日日新聞

寄贈品展パネルより 東京日日新聞 ベルリンオリンピック
1936年7月27日・8月10日・8月15日(左から)
(12/8から展示)

 今年も12月8日から、寄贈品展が始まります。
 今月は、寄贈品展で展示される資料をご覧いただこうと思います。展示では見られない裏面もご紹介します。
 1932年のロサンゼルスオリンピックと1936年のベルリンオリンピックが載っている新聞の寄贈がありました。ベルリンオリンピックの新聞をご覧いただこうと思います。

東京日日新聞

東京日日新聞 1936年7月27日 ベルリンオリンピック

 「オリムピツク便覧 わが代表選手の全貌」
 1936年7月27日の、東京日日新聞の七面です。
 選手の紹介のほかに、競技日程と、「記録対照表」があります。陸上競技男子100メートルの、未公認世界最高記録は10秒2、世界記録は10秒3、というようなコーナーです。
 水上競技女子には200メートル平泳ぎで優勝する前畑選手も載っています。名古屋の椙山女学園出身だったのですね。陸上の女子には、「中京高女」の文字も見えます。愛知県は、80年前も女性アスリートが活躍していたようです。

東京日日新聞

東京日日新聞 1936年8月10日(左)・8月15日 ベルリンオリンピック

 こちらは、大会が始まってからの新聞です。陸上と水泳の写真が大きく載っています。
 8月10日のトップは「待望幾年マラソン覇権初めて獲得」孫基禎選手が2時間29分19秒2のオリンピック新記録で1位という記事です。下の方では前畑選手が200メートル平泳ぎで決勝に進んでいます。女子選手は「前畑嬢」「小島嬢」など、「嬢」をつけて呼ばれています。男子は、「遊佐、新井は二、三位」のように何もつきません。「君」をつけて呼ばれる場合もあります。
 ところで遊佐選手と新井選手をおさえて優勝した「匈」の「チツク」選手。「匈」ってどこの国かというと、「匈牙利」と書くのですけど、ハンガリーです。
 8月15日の、胸に日の丸をつけた水着の男性は「わがホープ葉室」200メートル平泳ぎ準決勝1位の葉室鐡夫選手、となりは2位のドイツのジータス選手です。
 下段には「冬季大会 日本側有利に展開」の記事もあります。1936年の次、1940年の冬季オリンピックの候補に札幌が有力という記事です。「国際スキー連盟が大倉山シヤンツエを公認」だって。大倉山シャンツェっていう言葉久しぶりに見たなあ、と思いました。シャンツェはドイツ語で、ジャンプ競技台のことだそうです。

東京日日新聞

東京日日新聞 1936年8月10日

 この新聞をパネルに入れる作業をしている途中に、「裏も面白いよね」という話になったのです。8月10日の新聞の、裏側もご覧ください。
 広告のページですね。上の段から区切って、どんな広告が出ているか書き出してみました。
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千代田生命
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本の広告4つ「満洲国出現の合理性」・「グライダースポーツ」・「父の映像」偉人の子父を描く・「神皇正統記新講」
 すきまの小さい2つは「寶味醂粕-お漬物をうまくする秘訣」・「星名刺」(印刷所)
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 ナショナル乾電池(自転車用ランプ)
 その横に細く「サンデー毎日秋季特別号
 黒地で「呼吸器病科 医学博士 唐澤杉三 丸ビル五階 」その中に白抜きで「婦人公論」
 フランス語初等予科月1円アテネ フランセ
 大阪商船株式会社と日本郵船株式会社は、行き先と出発の日時がずらり。
 仁丹石鹸 仁丹体温計・いんきんたむしにハウト・「英文法通論」
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全六巻「将棋定跡全集」・「囲碁大講座」
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 将棋定跡全集は「昭和棋界の権威総動員」ということなのですが、詳しくないので知っている人がいないのです。1936年って、80年以上前です。ということは2017年に引退された加藤一二三さん(1940年生まれ)でさえまだ生まれていない。2016年に中学生でプロの棋士になった藤井聡太さんとは、100歳ぐらい違うんではないでしょうか。

 将棋定跡全集の著者「昭和棋界の権威」は、金子 金五郎 土居 市太郎 木村 義雄 花田 長太郎 大崎 熊雄 関根 金次郎の6人です。



東京日日新聞

東京日日新聞 1936年8月15日

 こちらはさらっと紹介したいと思います。
 8月15日の新聞の裏側です。「婦人倶楽部」と「婦人公論」の広告です。
 左端の記事は「遊佐選手」「遊佐さん」「結婚」という文字が入っています。先ほどご紹介した面にも登場していた遊佐正憲選手の結婚の話題が載っていたようです。


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