ピースあいち研究会から◆研究会の今まで そしてこれからは
研究会世話人 ボランティア 桐山 五郎          

                                           

 

 ピースあいち研究会は、4月22日(日)、今年度の総会(午前)と四月例会(午後)をもちました。昨年を振り返り、今年の方針を検討しました。
 以下は、主に昨年の例会を紹介しながらまとめます。

 例会は、
1.ピースあいちの企画展を掘り下げる報告が4点
2.研究会会員からの報告が4点
3.混声合唱組曲「悪魔の飽食」の取り組み(愛知公演)に参加した方々のトークから学ぶ例会
4.ピースあいちの展示ガイドの方々のお話から学ぶ例会
5.外部から講師を招き、学んだ例会が2点
でした。

1.企画展の報告
米軍資料から新たに見つけた日本本土空襲作戦を、詳細に解き明かした空襲展企画の報告。ハンセン病患者が沖縄戦で受けた戦場下の恐怖と患者差別の理不尽さ、その差別に抵抗した医師がいたことを明かした報告。いずれも粘り強い研究で見つけた事実をもとに解き明かしたもので、新しい視点から企画を考える内容でした。

2.会員個人から
「戦争は文化なのか」「沖縄の今」の他に、憲法第9条問題に関する問題提起。その問題提起とは、第2項を残し3項を加える加憲で日本社会はどうなるか、集団的自衛権の危うさでした。

3.混声合唱組曲「悪魔の飽食」から731部隊を考える
この組曲の歌詞には目をそむけたくなる事実、加害者の目線で人体実験をする場面があります。参加者が被害者の恐怖と正面から向き合い、その加害責任を引き取り、我がものにされていくのが分かりました。

4.展示ガイドのみなさんからも学びました。
工夫されているところをたくさんお聞きしました。ガイドが終わる時、「今日のことを調べてみよう」「家の人と話して下さい」「これから学校で学ぶ時に、また自分の頭で考えてみて下さい」という言葉で締めくくると発言されました。

 

5.外部講師から学ぶ
同志社大学大学院教授秋林こずえ氏は、『ジェンダーの視点から見た「基地の島に生きる」沖縄の歴史と今』でした。秋林教授は「軍事力では国民は守れない」と主張。日米同盟が日本の平和を守っているんじゃないの?という視点とは真逆です。基地の島に生きるとは、軍隊とは、兵士とは、性暴力、セクハラとは…それらの事実を丹念にあげ、その根源にある問題が歴史の過程で作られてきた社会構造(男・女らしさの知)・権力構造(優劣・家父長制)にあると説かれました。世界は今、これを乗り越え解決しようとしている。その社会では女性が社会に進出し、その責任を果たしている姿が見えてくる。それでは今の日本社会はどうなの?と問う講師の声が今も聞こえてきそうです。
『「展示」って何だろう』の勉強会も刺激的でした。博物館学芸員加藤和俊氏のお話は尽きません。「もの」の展示…実感してもらう。「もの」と案内ボランティア…優れた翻訳家。「展示」と「来館者」…未来を考えること。展示の専門家からのお話はヒントがいっぱいありました。

 今年は、次のような取り組みをしていこうと考えています。
  〇 会員のレポートから学ぶ。グループ(班)論議を深める。
    その成果を生かし、ピースあいちの活動に貢献する。
  〇 外部講師・他の諸研究団体・学会から学び、交流する。
  〇 研究会会誌三号を発行。

  

 ピースあいちは博物館相当施設です。ピースあいちの10年の歩みを振り返ると、さまざまな研究・調査に取り組み、それを「戦争と平和の資料館」にふさわしい企画展示として具体化してきました。これからも「国民の教育、学術及び文化の発展に寄与(博物館法第一条)」し、「歴史…産業…に関する資料を収集…保管…展示して教育的配慮の下に(同第二条)」市民のみなさんに活用して頂ける資料館であることが求められます。ピースあいち研究会も、その一翼を担っていきたいものです。