杉山千佐子さんの戦争体験の語り継ぎに取り組んで ~椙山女学園高校放送部~ 
椙山女学園高校放送部顧問 原 暁子          

                                           
 
絵はがき

 昨年9月、放送部がピースあいちさんの「戦争体験の語り継ぎの会」の結成式を取材させていただいたご縁で、杉山千佐子さんの戦争体験語り継ぎをさせていただくことになりました。
 杉山さんの語り継ぎシナリオとDVDは、すでにピースあいちさん制作のものがありました。しかし、今回は、高校生が、放送部員がやるのだから、自分達らしい語り継ぎをしたいと考え、シナリオ作りから取り組むことにしました。

 

 放送部は普段、アナウンスや朗読の練習、映像番組などを作っています。この技術を活かして、会場のモニターに映像を映しながら、ナレーションと著書の朗読で構成することにしました。そして、「自分のためではなく未来のために活動していた杉山さんの平和への思い」と「杉山さんの悲劇は今なお世界で続いていること」を伝えたいと考えました。

 

 杉山さんの語り継ぎをするにあたり、まずは、ピースあいちさんからお借りした資料、杉山さんの著書、過去に放送されたテレビ番組などを見ることにしました。
 その中で、部員達が一番印象的だったと言ったのが、東海テレビさんが制作された「きずあと」というドキュメンタリーの中で、「全国戦災傷害者連絡会」の活動が下火になって杉山さんが悔し泣きするシーンでした。どれだけ活動しても政治から見放される・・・、年月とともに、被害にあわなかった人だけでなく、被害にあった当事者でさえ、活動から遠ざかっていく・・・。あんなに強い杉山さんが悔し泣きするなんて・・・。風化のおそろしさ、平和活動の難しさを感じたようです。

 

 7年前の東日本大震災でさえ風化の一途を辿っているといわれている中、若い世代に73年前の戦争体験をどう語り継いでいくのか? 何を伝えていくのか? というのは、たいへん難しい問題です。部員たちは語り継ぎに一生懸命取り組む一方で、自分達が語り継ぎをしても同世代の若い人たちはおそらく聞きにきてくれないだろうという気持ちもどこかに持っていました。しかし、信念と情熱を持って活動した杉山さんをより深く知るにつれ、まるで杉山さんに励まされたかのように自分達も頑張って伝えていかなければという思いが強くなったようです。
 そして、語り継ぎが終わった瞬間、会場からいただいた拍手の中で、実際に行動することの大切さとその可能性を感じることができたようです。ピースあいちのみなさま、関係のみなさま、貴重な機会をどうもありがとうございました。