◆所蔵品から◆資料ナンバー100! メルマガ100号記念・ナンバー100の資料の話
資料班



 今回の発行(2018年3月)で、ピースあいち・メールマガジンは100号になります。(めでたい。)
 「所蔵品から」も、おかげさまで、創刊号から続いています。
 資料のidナンバーが100、って、どんな資料だろうか?
 100回記念の今月は、このような好奇心にお付き合いいただこうと思います。

伊勢新聞 1945年4月19日

伊勢新聞 1945年4月19日

 データベースから作ったリストを検索すると、100番の資料は、
「伊勢新聞 1945年4月19日 伊勢新聞社」 です。
 いちばん目立つところの見出しは、
 「空母五、戦艦二隻等 十四隻を撃沈破 沖縄島周辺に荒鷲連続猛攻中」
です。
この記事には黒地に白抜きで「大本営発表」の見出しがついています。「撃沈破」という言葉が出てきますが、「撃沈」と「撃破」を合わせて「撃沈破」のようです。

伊勢新聞 1945年4月19日

伊勢新聞 1945年4月19日

 1945年4月1日にアメリカ軍が沖縄本島に上陸します。4月19日づけのこの新聞には、ほかにも沖縄での戦闘のことが取り上げられています。
「紅顔白虎隊いま出撃 神機孕む沖縄決戦場」
「沖縄島 ”特攻機”生産に励め 神機は我等の双肩に」
どちらも特攻隊について伝えています。ちょっと長くなりますが引用します。
「…陸軍特攻隊振武隊の神鷲はこの絶好の神機に乗り敵艦船炸裂せんと十五日薄暮○○基地に集結したが…」(「紅顔白虎隊…」より)
「…白熱化せる沖縄航空決戦は14日来俄然混戦状態に入ったが しかもわが特攻隊は次々に突入、敵艦船の頭上に炸裂…」(「沖縄島 ”特攻機”生産に…」より)
 「神機」という言葉がどちらにも出てきます。神がかったチャンス、というような意味で使われているようです。
 沖縄からは離れますが、飛行機による体当たり攻撃の記事では、「皇土護持の三神鷲特進」もあります。名古屋と帝都(東京)で「B29を体当り撃墜」した、「皇土護持の三神鷲特進」という記事があります。
 また、「われ病弱者でも体当りできる」「訓練のできた諸勇士をこの際散らすは忍びない、その諸勇士に代って死にたい」と訴える「体当りへ血書で歎願 療養中の三中学生の純情」という記事もあります。

伊勢新聞 1945年4月19日

伊勢新聞 1945年4月19日

 伊勢新聞なので、三重県内の情報もいろいろあります。
 物資の不足(「逼迫する需給事情」)に対処しての交換会の案内(「仲よく交換させる 津市から順次県下で施設」)が出ていたり、

伊勢新聞 1945年4月19日

伊勢新聞 1945年4月19日

 松阪では建物疎開の準備が進んでいるという「来月から除却作業 松阪の建物疎開準備すすむ」の記事もあります。
 その上では電力に関する話題。「どんな僻村でも動力が使えるよう」「全県下昼夜送電」「爆弾や弾風で垂れ下った電線にふれて感電するようなことがないよう」注意をうながす「戦災亊感電防止」と、並んでいます。
 


伊勢新聞 1945年4月19日

伊勢新聞 1945年4月19日

 最後に広告をご覧いただきます。
 まず求人。「海軍要員採用 津海軍工廠」

伊勢新聞 1945年4月19日

伊勢新聞 1945年4月19日

 映画の案内もご覧いただきます。津・松阪・山田・四日市の各映画館の上映案内です。
 「間諜」「必勝」「神風」「福チャンの潜水艦」「陸鷲」「狼煙は上海に揚る」と、タイトルには戦争を思わせる言葉が並んでいます。それもすごいのですが、必ず併映で「日本報道映画」と「文化映画」がくっついています。
 「文化映画」はそれぞれ異なる内容のものが割り当てられているようです。
 「北鎮部隊」「爆弾と待避所」「将校生徒の手記」「陸軍予科士官学校」「働く藁工品」「印緬補給戦」と、こちらもいかにも戦争中のタイトルが並んでいます。「印緬」というのは、「印」がインド、「緬」がビルマです。ビルマは現在はミャンマーです。



詳しい画像はこちらからどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/pdf/20180323_iseshinbun100.pdf

ピースあいちウェブサイトの、所蔵品の紹介のページからも、バックナンバーの関連画像が見られます。よかったらこちらもどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/objects/