◆所蔵品から◆資料ナンバー8920 「防空絵とき」の話
資料班



防空絵とき 表紙

防空絵とき

 今月は、冊子「防空絵とき」をご紹介します。
 ピースあいち2階常設展の「愛知県下の空襲」コーナーで展示している資料です。
 2018年2月27日からの企画展「杉山千佐子追悼 名古屋空襲と戦傷者たち」でも「防空絵とき」についての展示があります。
 展示では紹介していないページをご覧いただこうと思います。
 

防空絵とき 奥付 時局防空必携

上:防空絵とき 奥付 下:時局防空必携

 発行は奥付によると「昭和十七年」、1942年です。
 財団法人大日本防空協会の発行です。
 今回は詳しくとりあげませんが、「時局防空必携」という小冊子もあります。で、こちらの発行も同じ大日本防空協会です。こちらは1941年12月発行です。
 今回の空襲展のパネルの年表によると、
1941年10月 「時局防空必携」発表(冊子として出たのは12月)
11月 防空法の改正
12月 日米開戦。
1942年4月 日本への初空襲
となっています。
(「防空絵とき」の発行はその後で、1942年の11月です。)

 中身を見てみましょう。まず「軍防空兵器」のページ。

防空絵とき

軍防空兵器

 聴音機・照空灯・防空気球・高射砲・高射機関砲・高射機関銃・防空飛行機・測遠機が紹介されています。
 防空気球には、「敵機をひっかけるため 高さ四粁位まであげる」と説明がついています。「粁」は、「キロメートル」です。




 「米国ノ重爆撃機」のページです。

防空絵とき

米国ノ重爆撃機

 ボーイングB-17B(右上)、コンソリデーテッドXPBY-2(右下)、マーチン157(左)のイラストと、正面・真横・真上から見たシルエットが載っています。

 1945年3月25日の名古屋への空襲には、焼夷弾ではなく爆弾が使用されました。
 爆弾についての解説のページ「破壊用爆弾ノ効力 其ノ三」と「其ノ四」をご覧いただきます。

防空絵とき 防空絵とき

破壊用爆弾ノ効力 其ノ三 其ノ四

 上の図には「二百五十キロ級爆弾」「木造家屋ノ命中弾ニ依ル被害」の見出しがあります。地下の水道管は「炸裂点から六米以内は全部破壊」、外を歩いている人も「破片のため二百米にても路上に在ると死傷することがある」などと書かれています。あっさりと読んでしまいますが、ものすごいことが書いてあるのですよ。35メートル以内だと、「路上に在ると全部死亡」になります。
 下の図は、50キロ・100キロ・250キロの爆弾の効力を並べて絵にしています。


 警防団のページです。

防空絵とき 防空絵とき

上:警防団ノ組織・警防団ノ業務其ノ一 下:警防団ノ業務其ノ二

 組織の図は、右から団長・副団長・分団長・副分団長・部長・副部長・班長・副班長・団員と、だんだん人数が多く、1人1人の絵は小さくなっています。監督は地方長官(東京では警視総監)指揮は警察(警務)部長と警察署長です。
 警防団の業務は、1.警護・2.消防・3.灯火管制・4.交通整理・5.防毒・6.救護・7.工作配給が挙げられています。

防空絵とき 防空絵とき

上:火叩キノ作リ方 下:焼夷弾ガ天井裏ニ落チタ場合

 最後にご覧いただくのは「火たたき」と「鳶口(とびぐち)」です。
 企画展の解説パネルに「防空七つ道具」として「水・砂・むしろ・バケツ・火たたき・鳶口・水ひしゃく」が出てくるのですが、、火たたきって何?とか鳶口ってまず何て読むの?どう使うの?と思われる方もいらっしゃると思い、どういうものか見ていただこうと思ったのです。
 火たたきは、棒の先にしゅろ縄を束にしてつけたものです。縄の先は少しほぐしてあります。火を消すのに使います。
 鳶口は、長い棒の先にくちばしの形の金属が付いていて、高いところの板などを外したりするのに使います。下の図では燃えている天井板を外すのに鳶口を使っています。



詳しい画像はこちらからどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/pdf/20180222_boukuuetoki.pdf

ピースあいちウェブサイトの、所蔵品の紹介のページからも、バックナンバーの関連画像が見られます。よかったらこちらもどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/objects/