「第5回寄贈品展」~戦争を語り継ぐモノたち~始まる   
ボランティア  古田 敬二           

                                           
 
絵はがき

「第5回寄贈品展」~戦争を語り継ぐモノたち~

 2017年12月8日(金)、ピースあいちの3階で「第5回寄贈品展」がオープンしました。
 この日は76年前、日本が無謀な戦争に突入した日でもありました。「戦争を語り継ぐモノたち」と銘打ったこの寄贈品展は2015年10月から2017年5月までに市民の皆さんから寄贈された420点の資料をA:軍隊生活、B:国民生活、C:本・地図、D:写真・郵便・新聞、E:その他に分類し展示しています。
 オープニングではマスコミ関係者も取材に駆け付けてきました。
 寄贈者の一人、緑区在住の遠藤公平さんと名東区在住の小笠原淳子さんが招かれ、寄贈品にまつわる思い出を語られました。

 遠藤さんは岐阜県出身、高等科を卒業後、名古屋造船所に勤められ、終戦まで輸送船の製造に当たられたとのことでした。ここで働く人たちの中には朝鮮から連れてこられた人、刑務所から来られた受刑者たちも多くいたとのことでした。真夏の作業場は50℃を超すという過酷な作業条件だったようです。名古屋空襲では爆弾が落ちた場所から数十メートル離れていたため命拾い、仲間は爆弾でやられて亡くなられ、その人を引き取りに来た家族の面倒も見られたそうです。88歳とは思えない矍鑠(かくしゃく)とした語り口でした。
 小笠原さんは母親の弟さん(大正4年生まれ)の遺品である「軍隊手帳」を示しながら話をされました。そこには、入隊から除隊まで、一日として欠けることなく戦争の様子がつづられていて、それを書く係の人がいたということに驚かれたとのことでした。

絵はがき

オープニングで展示の解説をする寄贈品展スタッフ

 お二人の話の後、スタッフによる分類別展示品の見どころが説明されました。
  展示品は数も多く、中には85年前、1932年の五・一五事件を伝える新聞等、手に取ると壊れてしまいそうな寄贈品も多く、詳細に見ることがやや困難なものもあります。一つひとつの展示品は当時の状況を偽ることなく伝えています。多くの民主的な人たちを拷問等で虐殺したあの悪名高い「特高」の闇を示す資料、軍隊で脱走等の罪で服役した人の記録、挙げればきりがありません。沖縄の「南風原文化センター」からは旧日本軍壕(ガマ)から発掘されたものが寄贈され展示されています。こうしたものを想像力をもって観察すると今の日本の状況が見えてくるような気がしました。
  「戦争を語り継ぐモノたち」は言葉を発することなく、私達に語り掛けているのではないでしょうか。昭和の「モノ」たちがなんだかキナ臭い平成の日本に「お前たち、気を付けろ、気を付けろ」と言っているようです。