◆所蔵品から◆資料ナンバー8840その他 1952年のアサヒグラフの話
資料班



アサヒグラフ1952年8月6日号

アサヒグラフ1952年8月6日号

アサヒグラフ1952年9月3日号

アサヒグラフ1952年9月3日号

 来月(2017年12月)8日から、寄贈品展が始まります。
 展示する資料の中に、1952年のアサヒグラフがあります。
 週刊のアサヒグラフ1年分、52冊の寄贈がありました。基本的に表紙は赤と黒の2色の印刷なのですが、月の初めの号だけはカラーの表紙になります。
 展示スペースの関係で52冊すべてをご覧いただくことはできませんので、ここでカラーの表紙12冊分だけでもご覧いただこうと思います。

 8月6日号表紙には「原爆被害の初公開」の文字があります。
 原爆について、GHQの報道規制があったので、これより前には原爆のことを日本の人に知らせる報道はできなかったのです。
 この号は1冊まるごと原爆を取り上げています。
 9月3日号の裏表紙にもGHQが出てきます。第一生命の広告に、「第一生命は日比谷の……/本館(もとのGHQ)にもどりました」と書かれています。

アサヒグラフ1952年5月7日号

アサヒグラフ1952年5月7日号

 5月7日号の巻頭の記事は「4月27日講和条約発効! この日、この瞬間から日本は独立した。」で始まっています。

アサヒグラフ1952年新年特大号

アサヒグラフ1952年新年特大号

アサヒグラフ1952年7月2日号

アサヒグラフ1952年7月2日号

アサヒグラフ1952年3月5日号

アサヒグラフ1952年3月5日号

 1952年は辰年で、うるう年です。
 新年特大号にはまんが家の年賀状や、タツノオトシゴの写真などが出ています。表紙は東郷青児。
 オスロ(冬)とヘルシンキ(夏)でオリンピックがありました。7月号の表紙はオリンピック選手吉川綾子さん 3月号にはオスロオリンピックの記事があります。

アサヒグラフ1952年10月1日号

アサヒグラフ1952年10月1日号

 さらにこの年には、衆議院の解散・総選挙(第25回衆議院議員総選挙)がありました(10月1日投票)。前回の「所蔵品から」でご紹介した1946年の選挙は「第22回」です。
 GHQによる追放が解かれて改めて立候補した候補者が329人。466の議席に1243人が立候補しました。
 10月1日号には選挙戦の様子が紹介されています。

アサヒグラフ1952年2月6日号

アサヒグラフ1952年2月6日号

 他のもさらりとご覧いただきます。
 2月6日号には「ワイセツか・ゲイジュツか チャタレイ裁判」「ラク町始発電車のころ」(有楽町駅午前4時頃の写真)などの記事があります。

アサヒグラフ1952年4月2日号

アサヒグラフ1952年4月2日号

 4月2日号の記事で、おもしろそうなのは「書き換えられた日本国」(ヨーロッパで出版された日本地図いろいろ)「盛り上がる自衛力」(逆コースとか言われても剣道熱はすさまじい勢いで広がっている)

アサヒグラフ1952年6月4日号

アサヒグラフ1952年6月4日号

 6月4日号の巻頭の記事は、「裁かれる“戦力”論争」。 警察予備隊(のちの自衛隊)が日本国憲法に反していると訴え、最高裁に判決を迫っているという内容です。

アサヒグラフ1952年11月5日号

アサヒグラフ1952年11月5日号

 11月5日号には、「櫛風沐雨」というタイトルで、名古屋の大日寺の裏山に104体の軍人像が残っているという記事があります。 占領軍は「高級美術品を除き一切の軍服着用像の破壊までも命令」したが、「死んだ人に罪はない」と「老住職」は「突っぱねた」のだそうです。
 これらの像は知多半島の「中之院」に移されています。2011年のピースあいちの戦跡ツアーで訪れたところです。

アサヒグラフ1952年12月3日号

アサヒグラフ1952年12月3日号

 12月3日号には、「7・5・3パレード」。「独立最初の年の七五三は」振り袖や羽織袴の「復古調が進出」しているらしい。1万5千円の豪華な衣装が「飛ぶように売れた」ので「日本も金持ちになったものだ、と感嘆せざるを得ない」と書かれています。(ちなみにアサヒグラフは40円です。)

 この年の『アサヒグラフ』は「復古」「逆コース」という言葉があちこちに出て来ます。戦後新しい社会へ変化していく途中で、揺り戻しのような時期だったのでしょうか。GHQが解散したことも影響しているのでしょうか。
 初もうでの人出や、電車の忘れ物が戦前並みに戻ったという記事や、豪華な七五三の記事を見ると、戦争中や終戦直後の苦しい生活から抜け出してきているのかなと思いました。


 

詳しい画像はこちらからどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/pdf/20171121_asahipicturenews.pdf

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