ボランティア勉強会◆展示ガイド      
ボランティア  長谷川 保郎



 9月10日、ボランティア勉強会が開催されました。今回は、展示ガイドの役割についてと、実際のガイドを通じての勉強会でした。
 前段は、立命館国際平和ミュージアム名誉館長・安斎育郎さんの「平和博物館の役割とその現状」(5月14日、ピースあいち10周年記念式典講演のDVD)による学習、後半はボランティアの吉岡さんによる常設展の展示ガイド。

 安斎さんは「平和の対置概念は戦争ではなく、人間の能力が100%生き生きと花開くのを阻んでいる暴力。その暴力とは具体的には、飢餓・貧困・社会的差別・人権抑圧・医療教育の遅れを言い、戦争の学習展示だけでなく広く暴力について学習していくことが今は求められている。それはピースあいちの1階の展示『現代の戦争と平和』を使って説明していくことも考えられると思う」と。
 そしてあと一点、安斎さんは、「ガイドで自分の歴史観や価値観を説明してしまうことがある。ピースあいちの展示には、ピースあいちとしての歴史観や価値観が反映されている。ガイドは、自分の意見を言うのではなく、展示物を通して戦争というものを客観的に問題提起し、後は来館者それぞれの判断に任せるという立場がいるのではないか」と。この言葉は痛いほど身に沁み自戒して聞いた。

加藤さんと堀田さん
 

 吉岡さんのガイドは2階の名古屋の空襲の被害の実態からー。そして、この空襲の前に日本は中国の重慶で空襲を行い、中国の一般国民を多数殺傷したというところにつないだ。また、ピースあいちの最大の力点と私は思うが、吉岡さんも15年戦争の侵略性を満州事変から敗戦まで、日本国民がなぜ戦争に協力していったのか、皇国教育・思想弾圧・治安維持法等の資料を基に、どのように国家体制がつくられ(国民も協力した?)たのか、その結果、日本は中国や東南アジアで何をしてきたのか、その反省から現在の憲法が生みだされてきたということ。さらに、戦争下で国民はどのような生活だったのか、食糧事情はどうか、子どもたちはどのような生活を強いられたのか。しかし、厳しい思想統制の中でも小林多喜二や桐生悠々のように抵抗した人もいたという流れで説明した。
 1階では、戦争と平和の概念のとらえ方から、人間が人間として生きる権利の獲得が平和に生きることであるということをカントの「永遠の平和のために」から説き起こし、一人の指導者の運動から民衆一人ひとりが行動を起こす運動―一人ひとりが主人公の運動へと展開する流れを示した。
 吉岡さんがガイドにあたって、あくまで資料・展示物に語らせ、絶えず聞く人への問いかけ(一方的に話すのでなく)を心がけていることがよくわかった。