朗読劇「あの夏の空に届け」に出演して 
南山国際中学・高等学校 保護者有志 柴田相子 



 
表紙

 今年も終戦記念日が近づいてきました。私の戦争の知識は小学生の時に学習した、広島と長崎に原子爆弾が落ちて終戦となったという事実と、悲しい思いをした人たちがいるから二度と戦争をしてはならないというものです。戦争を体験された方の手記を読むことは重苦しく、若い頃にはできなかったことでした。

 2年前「ピースあいち」で初めて聴き手としてこの朗読会に触れた時、ずっと現実から遠ざかっていた戦争のことを近くに感じ涙が出ました。
 「大人になれなかった弟たちに」では、兄は弟のミルクと知りながら誘惑に負けて飲んでしまい、その弟は栄養失調で死んでしまいます。小さくて人生を終わってしまった弟がかわいそうで、また自分が弟のミルクを飲んでしまった後悔とともに人生を送っている兄の心を思いました。
 ほかの詩や手記からは子どもを失った母の気持ち、まさかもう会えなくなるとは思わず起きてしまった現実にどうしてよいか行き場のない気持ちをずっと抱え続けていること、こうすればよかったとずっと後悔をして人生を送っているということ、体験をされた方たちの中では戦争の傷跡がずっと残っているということを改めて感じました。

 そして昨年から朗読させていただくことになった時、読む側になってみると、読む度に模索しながら体験者の気持ちに近づこうとしますが、表現するには足りない自分を感じました。
 今年は2度目となり、今年の朗読部分である広島放送が放送した書籍版「碑」を読みました。本には広島二中の生徒の原爆投下後の様子が詳細に綴られていました。情景を想像し、一人ひとりの生徒がどんな子だったのか中学生たちの写真を見てみると、小学生のように小柄な子どもが並んでおり、この生徒たちが原爆投下の時、とった行動を知ると涙なしでは読めませんでした。戦争は何だったのでしょうか?

 今は、朗読することは、戦争で起きたことを伝えることであると思っています。体験者でなくても事実を知り体験者の気持ちを思いやること、これからの世の中に戦争が引き起こす悲惨さを伝えるために、多くの人に体験者一人ひとりに起きたことを知ってもらいたいと思います。世界平和を祈ります。





●お寄せいただいたアンケートから●

表紙

南山国際中・高の皆さんとお母様方との朗読が一文一文心に沁みました。内容もそれぞれの立場からのもので、戦争の及ぼす不幸が訴えられ、これからも語りついでいかなければと思います。

今までは出演者という立場でしたが、今回初めて後輩たちの活躍をみて、成長を感じました。そして歳をとるたびに、このような発表がしみじみと感じられるようになってきた。南山国際中学・高校は廃校になってしまうが、「ピースあいち」でのこのような活動は何らかの形で残してほしいと思っている。

皆さんの朗読がとても心に響きました。戦争のおそろしさ、むなしさをあらためて感じました。私自身、南国の卒業生なので、母校の生徒が今もこのように戦争について知り、伝えているということは、すばらしいと思いました。

戦争を知らない私たちにも戦争のすざましさ、悲惨さが伝わりました。戦争のことは知っておかなければならないと思いだすことができました。

はじめて観ました。いろんな視点から戦争を考えさせられました。生徒もお母さんたちも気持ちが伝わり涙が出ました。まだまだ自分が知らない世界があります。それを気づけたことも大きな一歩です。この輪がもっともっと大きくなることを願っています。

若い人達の熱演に胸がつまりました。この朗読を、国会まで届けたい気持ちです。

私は18年生まれの女性です。戦後の混乱期に子供時代を過ごしました。毎年この催しを聞く度に涙を流します。皆さん、ありがとう…

心のこもった、表情豊かな、また心にしみる静かな口調に大いに感動、眼をつむって聞くうち、情景が思い浮かび何とも言えず、胸をつかれる思いでした。今また戦前を思わす世情、また若者たちが再び戦場に出たり、戦火にまみえることのないよう、如何に為すべきか。老若男女、すべての国民、世界の人々と共に考えるべき時代。核兵器廃絶の願いも込めて…。感動、ありがとうございました。

思っていたよりもあっという間に終わりました。生徒と保護者でやっているのがとても良いと思いました。いろいろな波があって一つの作品になっていて厚みになっていて良いですね。歌もアクセントになっていて、短い時間でした。

私は戦争の苦しみが分かりません。でも、今回劇をみて、人々の苦しさが伝わりました。私は戦争をあじわったことないけれど、とても感動しました。

今日のことは中日新聞で知りました。私は、一宮在住の81歳の老人です。戦争が終わった時、小4年でした。平和の国を願ってきて…最近日本は戦争へ戦争へとつき進んでいます。その中で、皆さんのとりくみは、勇気と希望です。