合唱組曲「悪魔の飽食」を歌う    
ボランティア 浅井 和子



加藤さんと堀田さん
 

 「歴史的事実」を歌い継ぐために2017年7月2日、混成合唱組曲「悪魔の飽食」(原詩・森村誠一 作曲・池辺晉一郎 の手によって完成)が日本特殊陶業市民会館フォレストホールで上演されます。私もその一員として歌います。
 歌に込められた“真実”と“思い”を受け止めたいと、4月26日、明治大学生田キャンパスにある登戸研究所資料館に行きました。
 登戸研究所(正式名称:第九陸軍技術研究所)は戦争に必ず存在する「秘密戦」(防諜・諜報・謀略・宣伝)という側面を担っていた研究所です。戦前に旧日本陸軍によって開発された研究所で、ここではさまざまな秘密戦兵器の開発がされました。資料からは外地において毒物の人体実験や細菌の散布実験が行われていたことがわかります。

 合唱組曲「悪魔の飽食」は、第二次世界大戦中に細菌兵器の開発をすすめるために人体実験を行っていた、旧日本軍731部隊の実態に迫るものです。「日本人よ 731部隊を問え」と厳しく呼びかけ、何も知らせられない隊員が「石井中将閣下の命なれば」と人体実験を行う狂気と、戦後もその苦しみを引きずる姿。犠牲者を追悼し、高らかに平和と希望を歌い上げる。多彩な歌詞とメロディーが深く印象に残る合唱曲です。
 狂気を体験し、戦後が終わらない隊員に比べ、そのデータを米軍に渡し戦犯を逃れた軍人たちはその後も、戦後繁栄を続ける社会の中で利益を得て何もなかったかのように過ごした事実を知るにつけ、怒りや理不尽を覚えます。
 悪魔の飽食を聴きながら731部隊の実態について一緒に考えてみませんか。