今年最後のガイドを終えて     
運営委員 安井 真理子



絵はがき
 

 学校から団体で来館する小、中学生たちに展示ガイドをすることは、「ピースあいち」でのやりがいのある活動の一つです。たった一度きりの、そしてわずか一時間足らずの関わりですが、小、中学生たちがこれからの人生の中で戦争や平和について学び、考え、行動するきっかけになればという思いを込めてガイドをしています。
 二階の展示は、内容が高校の教科書レベルのため、いかに「むずかしいことをやさしく」説明するか、また、教室とは違い自由に動ける空間で、どうすれば集中して聞いてもらえるかなど、工夫すべき点はいくつかあります。しかし、私が質問したことに対して、張り切って答えてくれる子がいたり、そわそわとして落ち着きのなかった子が、ある瞬間から耳を傾けてくれるようになったり、終わってから気軽に話しかけてくる子がいたりと、ガイドの醍醐味を味わうこともしばしばあるのです。また、担任の先生と子供たちとの親しげなやりとりから、学年やクラスの雰囲気のよさが伝わってきて、かつて自分もあのような世界の中にいたのだと郷愁を感じたりもしています。
 さて、11月下旬に来館した三重県北勢地区の小学校では、次のような年間計画を立て、その一環として「ピースあいち」来館を実現させたそうです。

    

 「みんなの幸せ」という年間の総合学習の中の「戦争を窓口にした平和」というテーマで
① 道徳「人権」・授業参観「命の授業」(10月)
② 国語科「平和のとりでを築く~意見文を書く~」(11月)
③ 社会科「戦争と平和~15年戦争~」(11月下旬)などの学習をより深いものにするため、「ピースあいち」の見学と平和公園でのフィールドワーク(グループで戦争遺跡を巡る)を実施
④ 三学期の学習発表会において「平和」についての学びの集大成を発表  

 「ピースあいち」の見学が、年間計画の中で実に有効に生かされていると感心しました。帰り際、先生から「教科書に載っていない戦争の現実に触れることができました。子供たちがどのような思いを持ったのか教室で聞くのが楽しみです。」という言葉をいただきました。学校の授業内容といかに有機的に結び付けていくか、それが展示ガイドに求められる最も重要なポイントだと思われます。私にとって今年最後のガイド校となりましたが、素直な小学6年生たちとの出会いは小春日和の日のよき思い出として心に残りました。