◆ボランティア雑感◆広島でのオバマ大統領のスピーチ    
ボランティア 渡辺 美穂



  オバマ大統領が広島を訪れた時のスピーチを聞き、最初の言葉に「?」と思い、改めてスピーチ全文を読んでみた。
  最初の言葉は、Seventy-one years ago, on a bright cloudless morning, death fell from the sky and the world was changed. A flash light and a wall of fire destroyed a city and demonstrated that mankind possessed the means to destroy itself.「71年前の明るい朝,死が空から降りてきて世界が変えられた。閃光と炎の壁が1つの市を破壊し,人類が自分自身を破壊できる手段を持っている事を示した。」という言葉だ。
  「?」の内容は「死が降りてきた?」「世界は誰によって変えられた?」という事で、原爆を落とした国の大統領としてあまりにも第3者的な見方なのではないか、という事だった。( 受動態は、このように主体を明らかにしたくない時に便利な表現だ)

絵はがき

中国新聞、号外出す

 

 その後、「古来人間は技術の発展を生活の向上に役立てると共に人間を殺す手段としても使用してきた」と述べて我々人間の内部にある矛盾に言及し、被爆者の方々への思いを述べながら「核廃絶への希望」で締めくくっている。その間の文の主語が「人」の場合、ほとんどがweで、Iはただ1回だけ。最後の方のOrdinary people understand this(=全ての人は平等に生きる権利を持ち71年前に亡くなった人たちも我々と同様の権利を持っていたということ)、 I think.のみ。
  「weとはだれ?」と考えると「アメリカの人々」「今広島に集まっている人々」「人類全体」など様々に考えられ、多くの共感が得られるスピーチだったと思う。だが感情には訴えられても、大虐殺ともいえる原爆投下がなぜ行われたのか、その事に対する評価はどうなっているのか、などの論理の面で物足りなく感じた。それが、初めに感じた「第3者的」の原因だと思った。

 当事者であるアメリカであるからこそ明らかにできる事実や分析について、もっと述べてほしかったと思う。事実を論理的に見て分析することで、私達は歴史から学ぶことができるのではないか。また、Iで始まるスピーチをもっと聞きたかった、とも思った。大統領の任務終了後の発言や行動にも注目していきたい。