◆所蔵品から◆資料ナンバー1637その他 常設展の新聞の話 資料班


常設展示
常設展示

ピースあいち2階常設展 第2展示「戦争の全体像 15年戦争」

 2階常設展の、展示資料のリニューアルが完成しました。
 資料の解説を増やし、パネルの流れに沿った資料を展示しています。
 立体的な展示も増えました。

 当時の新聞を、1面全部見てもらいたい(それには奥行きが足りない)、ということで工夫して、斜めに立てかけるように設置してあります。
 斜めになっている新聞は3枚。今回は、新しく展示されたこれらの新聞を見ていただこうと思います。
 展示の順路からいくと、まず目に入るのが下の写真の向かって右側、宣戦布告を伝える新聞です。

「新愛知」
「新愛知」

「新愛知」の1941年(昭和16年)12月9日夕刊

 「新愛知」の1941年(昭和16年)12月9日夕刊です。
 昨年(2015年)11月のメルマガ「所蔵品から」では、大阪毎日新聞の「帝国、米英に宣戦布告」1941年12月9日号(12月8日第一夕刊) をご紹介しています。
 毎日新聞と同じように新愛知でも「大詔渙発」(たいしょうかんぱつ・天皇からの命令を広く発布すること)の言葉が使われています。
 下のほうの段には広告が入っています。薬が多いようです。左下の、「顔」「ペラニン」っていうのは、化粧品になるのでしょうか。「塗布により」「高単位の女性ホルモンが」「容色の衰退を防止」するんだって。
 その上が、「ヘイタイサンニ オテガミカコウ マルゼン アテナインキ」。

 展示では見られない、裏面もご覧いただきます。縦に2本、色が変わって見えるのは、斜めに置いた新聞がたわまないように透明な支えの棒をつけてあるところです。
 「全県下に準備体制 けふ(今日)愛知県警察部告示」「大いに戦うぞ 緊張中京の朝」など、地元の記事もあります。
 「宇治山田市では、」8日午後1時に「急施(急いで)市会を開き、」そのあと「議員一同は神宮に参拝」、「同時に陸海軍に激励電報を発した。」という小さな記事もありました。宇治山田市は、現在の伊勢市です。(去年ピースあいちで企画展をした竹内浩三の故郷です。)
 下のほうには「名株市場暴騰」などの株式のコーナーがあります。
 広告は、化粧品・薬品(しっぷ・女性ホルモン剤・脱腸帯・菊乃友渦灰)がやはり多いのですが、(菊乃友って蚊取り線香かと思ったらカイロでした。そういえば12月だった。)そのほかに、お芝居の広告が出ています。万松寺帝劇では、「女自来也」「妖艶 鈴木澄子・大友柳太郎主演」「黄金道中」「お腹が宙返りするほど面白い」「玉松一郎・玉松ワカナ」、名古屋宝塚劇場では、「川中島合戦」「歌う里見藍子!」となっています。

新愛知

「新愛知」1941年12月9日夕刊 第二面「今夜のラジオ」

 ラジオのコーナー「今夜のラジオ」をご紹介したいと思います。
 現在の新聞ならテレビ欄だけでまるまる1ページ(1面)なのに、この時代は縦3センチ・横6センチという小ささ。夕刊なので、夕方以降の番組が載っています。
 まん中より少し後に、【都市】と書かれています。都市と地方で受けられる情報が違う、というのは、なんだか不思議な気がしますけど、当時は当たり前だったのでしょうか。都市では午後9時からは「基礎独逸(ドイツ)語講座」です。都市には大学生や、大学を出た人が多いのだろうな、と思ったり、同盟国だから、英語でなくドイツ語なのだろうかと思ったりしました。

 新聞は3枚あるのですが、1枚目を見ていただいたところですでに説明が長くなってしまったので、あと2枚、「大東亜会議を伝える朝日新聞 1943年11月8日」と「終戦の日の中部日本新聞 1945年8月15日」は来月にまわしたいと思います。

詳しい画像はこちらからどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/20160523_16jousetushinbun.pdf
ピースあいちウェブサイトの、所蔵品の紹介のページからも、バックナンバーの関連画像が見られます。よかったらこちらもどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/05_objects.html