「原爆の図」展を前に丸木美術館を訪ねて
 運営委員 熊本 亮子

                   



 3月15日から始まる「ピースあいち」特別企画『原爆の図』展に先がけて、2月11日に埼玉県東松山市にある丸木美術館へ見学に行きました。丸木美術館は、水墨画家の丸木位里さんと油彩画家の丸木俊さんによって共同制作された、原爆の図第1部から14部を常設展示している、1967年に開設された美術館です。
 参加メンバーは企画展担当者などの9名。美術館のスタッフさんに迎えられ、丸木美術館学芸員の岡村幸宣さんが、丁寧な作品の解説をして下さいました。

 

 展示室に入ると、圧倒的な作品の存在感。絵と向き合い細部の描写に目を凝らしました。折り重なる原爆に焼かれた人々は、おそろしく悲惨な姿ではあるのですが、丸木夫妻の強い執念のようなものが迫ってきて、しばらく動けませんでした。岡村学芸員さんが静かな口調で、「丸木夫妻は原爆のきのこ雲ではなく、地上の被爆した生身の人間を描いた」と話されました。描かれた原爆の被害の前で、時代や国を超えて多くの人々を立ち止まらせてきたのだろうと思いました。

 

 鑑賞の1時間があっという間に過ぎ、気が付くとお腹はペコペコ。2階の小高文庫でこたつに入り、当地で人気のうどんでお腹を満たして体も温まりました(展示室は冷暖房をしていません)。その後企画展の打ち合わせをしたのですが、丸木夫妻の愛用した絵筆なども展示させてもらえることになりました。丸木美術館の理解あるご協力に喜び感謝し、たくさんの皆さんに見ていただきたい!そんな気持ちを強くし、帰路につきました。

 

 今回「ピースあいち」で展示する第4部≪虹≫と第8部≪救出≫は、名古屋では1986年に愛知県美術館で展覧されてから実に30年ぶりです。この大作が埼玉県まで足を運ぶことなく見られるまたとない機会です。ぜひとも展覧会にお越しください。スタッフ一同お待ちしています。

 
絵はがき絵はがき